グリザイア ファントム・トリガーはTom Clancy’s Rainbow Six?Noirとの違いを探る

『グリザイア ファントム・トリガー』と『Noir』を見比べると、多くの興味深い違いが見えてきます。まず、『グリザイア ファントム・トリガー』は軍隊的であり、強いて言うと『 Tom Clacy’s Rainbow Six』に似ています。基本的にキャラクターごとにポジションが決まっており、その立ち位置に応じて戦闘スタイルも異なります。

キャラクターの役割とレンジ

  • レナ: シューター (拳銃使い)、レンジは基本的に中・近距離
  • トーカ: マークスマン (中距離スナイパー)、レンジは遠・中距離
  • ムラサキ: ニンジャ、レンジは至近距離

それぞれのキャラクターが持つ特定の役割に基づき、戦闘が展開されます。

Noirとの対比

『Noir』は基本的には殺し屋の物語であり、殺害手段には特に固定されたものはありません。実際、第一話でも霧香はネクタイを使って絞殺するシーンがあります。事前に計画は立てますが、その場の状況に応じて即興的に最適な手段を選びます。

戦術と指揮

『ファントム・トリガー』は、いわゆる対テロ特殊部隊のスタイルを持ち、事前に作戦計画を立て、各キャラクターはそのスキルに応じたレンジで戦闘を行います。指揮官であるハルトは現場と作戦のズレを調整し、クリスは衛生工兵科であり、主計や情報担当を兼任するため、実は最も多くの負荷がかかっています。

さらに重要なのは、Noirのような殺し屋は違法であり、対立組織や司法当局に常に追われている点です。そのため、作戦が終わればリラックスできる特殊部隊とは異なり、生活全てに一定以上のストレスがかかります。彼女らは非常に強靭なマインドセットを持っています。夕叢霧香の場合、記憶がないために振り返るものがないという点では特殊ですが。

『ファントム・トリガー THE ANIMATION』1話で出てきた「狂犬のレナ突入します」というセリフは、『Rainbow Six』で有名なセリフ「Alpha Go」と同様に、扉を破るなどして敵陣へ突入するシーンを想起させます。

物語の焦点と構成

『ファントム・トリガー』は、各エピソードで異なるキャラクターに焦点を当て、その過去を掘り下げながらメインクエストに繋げていく形式です。一方、『Noir』は自己探求と復讐の物語であり、一貫してそのテーマからブレることがありません。霧香とミレーユの絆を構築していく過程が描かれています。

『ファントム・トリガー』が基軸とするのは、軍事的な行動に示されるリアリティであり、一種のゲーム性です。しかし、『Noir』のそれはOPの直後に入る「Noir、其はいにしえよりのさだめの名、死を司る二人の処女おとめ、黒き御手は嬰児みどりごの安らかなるを守りたまふ」この言葉の通り、隠された神秘、隠された二人の宿命です。

総評

『ファントム・トリガー』はゲーム的な要素が強く、そのスタイルを愛する者に向けた作品です。『Noir』は映画的な作品であり、そのタイトルもフィルムノワールから取られています。それぞれのカラーは選択により異なりますが、どちらも魅力的な作品と言えるでしょう。

オリジナルのゲームについて書かれた感想を読んだ感じで書いてみました。

復讐と自己探求の旅 – Noirが与えるインスピレーションと他作品との比較

グリザイア ファントム・トリガーを見てたら、唐突にNoirが見たくなりました。

少女、殺し屋、ガンアクションの先駆け

多分、少女、殺し屋、ガンアクションというのをまとまった形で出てきたのはこの辺からだと思います。勿論、80年代のOVAは美少女、アクションを軸にしたのが多いですが、基本的にはSFという体裁だったように思います。違うとすれば、園田健一のテイストが色濃く出たライディング・ビーンでしょうね。

Noirの基本テーマ:復讐と自己探求

Noirの基本は、復讐と自己探求です。記憶のない少女 夕叢霧香、復讐に生きる少女 ミレイユ・ブーケが基軸です。そもそも、ミレイユ・ブーケは第一話で夕叢霧香に素性を知っているものを生かしておくわけにはいかないと、すべてが分かった時には霧香を殺すことを宣告しており、最初から緊張感を孕んでいます、物語の進行とともに二人の距離が近づいていくのが物語の基本です。

夕叢霧香のキャラクター分析

夕叢霧香は殺人の罪悪感が欠落した少女で、過去の記憶はなく、家族も偽物、学生証も偽造、あらゆる身元が消去された少女です。その意味では、後年のガンスリンガーガールに一番近しいと思います。しかし、ノワールという言葉の意味、ソルダ、真のノワールという作品に秘められた謎が開かれていく、これが多分、後発の作品との最大の差異となっていると思います。

二人のキャラクター像

夕叢霧香は第一話から、動きのキレはよいですが、必要以上の動作、必要以上の言動をしない静のイメージが付きまといます。たいして、ミレーユ・ブーケはやや言動も多く、動きも無駄を含めて多いです。結果的に静と動、暗と明という対比が構築されています。これは、複数のキャラクターを立てて、ヒットする属性をという昨今のキャラクター造形とは異なります。

最終的な解放と新たな始まり

そして、二人は最終的に、自分たちを縛っていたすべての宿痾を断ち切って歩き始める。この辺の流れも実にいいですね。

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